やっと?いや楽しい時間を列車内で過ごし北京に到着。日は沈み夕方になっていた。
駅で安いホテルを教えてもらいその足でタクシーに乗った。
タクシーの運転手さんは40代ぐらいの男性、僕らがホテルの名前を告げると愛想のいい笑顔で車を走らせた。
彼は運転しながら僕らに話しかけてきた。「北京へは何しに来たの?」「観光かい?」
「はい」「観光で、広州から列車で来ました」といった世間話を筆談を交えてにこやかにしていた。
そして彼は、「君たちはシャンガンレンかい?」シャンガンレン・香港人ですか?と聞いて来た。
「いいえ、リーベンレン・日本人です」と答えた。
すると彼の表情が見る間に変わり笑顔が消えた。そしてその後、ホテルに着くまで一言も話さなかった。
それまでの人生の中で、これほどまでに態度を急変させた人を見るのは初めてだった。
余程、日本人に嫌な感情を持っているのだろうか?家族や知り合いに先の戦争で痛い目にあったのか?
無言の車内は得体の知れない空気で恐怖を感じた。
何処かへ連れて行かれるんじゃないか?ホテルへ着けるのか?
でも彼はそんな悪い人ではなかったようで・・・そんな心配もなく、無事ホテル到着。
料金を払い、「ありがろう」と言っても彼は無言のまま車を走らせ去って行った。
前回も触れたが、この国と日本の歴史を肌で感じた出来事の一つ。この後、もっと強烈に、ダイレクトに痛感させられる出来事が起こるが、それは追々。
教えてもらったホテルは外観は結構立派だった。部屋はツインで僕らは2部屋にチェックインした。
ベッドが凄かった、固い。これがベッドか?床にうっす~い布団1枚って感じ。そして浴室、シャワーだ!
シャワーだけってことには別に驚かない。お湯が出ない。2月の北京は真冬、香港や広州とはまるっきり違う。
これには参った。ここに5泊ぐらいしたのだが、シャワーは昼間に入ることしか出来なかった。
でも料金は安かったので貧乏旅行の僕らには文句も言えず、人間慣れればそれなりに快適に過ごせた。
北京ではこの後、いろんな観光地へと足を運んだ。それは次回、今日はここまで。